2004年に小泉政権下で国立大学の法人化が施行され、その後、安倍政権下の2014年改革で、『「投票結果をそのまま学長選考会議等の選考結果に反映させる」ような方式は、学長選考会議の主体的選考という観点から適切ではない』と明示した。
2021年1月の国立大学調査では、意向投票で1位以外が学長に選出された例は24校で29回、意向投票を廃止した国立大学は17校であり、東北大学は投票結果の一般公開をしていない。また、2021年2月から2026年9月の間にも宮城教育大学、新潟大学、大阪大学、岡山大学、高知大学、京都大学、東京大学で意向投票2位以下が次期学長/総長として選ばれたことが確認されている。
第204回国会 参議院 文教科学委員会 第12号 令和3年5月13日
全国の国立大学の対応
北海道大学
2025年から、候補者本人への1票ではなく3つの所見項目への賛同を聞く方式になった。

寳金清博氏が総長となった。
北海道教育大学
神田房行教授と本間謙二学長が第12代・第13代を決める次期学長選挙に立候補、意向投票の結果は神田房行(250票)/本間謙二(208票)だったものの現在の学長である本間謙二の意向から次期学長は本間謙二を再任することとなった。
その後、2014年10月21日に本間謙二学長は意向投票の廃止を決めた。
全国国公私立大学の事件情報: (国)北海道教育大学 アーカイブ
東北大学
投票結果は一般公開なし。
宮城教育大学
2023年の学長選挙にて、意向投票の結果、本図愛実80票/松岡尚敏44票/熊野善介15票だったが、2位の松岡尚敏が次期学長として選ばれた。
宮城教育大学長候補、意向投票2位から選出 1位とダブルスコアの大差でも大学側は説明せず 教職員「現場に示しつかない」 | 河北新報オンライン(2024年3月23日)
山形大学
第11代学長選抜において、小山清人378票、結城章夫355票、加藤静吾56票だったが、2位の結城章夫氏が学長に選ばれた。
筑波大学
2019年12月、永田恭介学長が自民党の意向に沿って、筑波大学の「軍事研究を行わないことを宣言する基本方針」に反して、「安全保障技術研究推進制度」に採択された。筑波大学は4年間で約12億円の研究資金を得ることとなった。
2020年4月、従来、学長任期は2期6年を上限としていたが、4月1日に出された教職員向け通達により、任期制限が撤廃された。
2020年10月、次期学長選考で生命環境系長の松本宏教授が951票、永田恭介学長が584票を得たものの永田学長が再任された。
筑波大学が発表した決定理由には「筑波大学の卓越性を高めることができる者」と認められたことが記された。
永田学長を再任 筑波大 選考プロセスの正当性問う声噴出 | Newsつくば
「筑波大学長選考と国立大学ガバナンス改革問題」筑波大学教員・佐藤 嘉幸 | コラム/深層
次期学長予定者の決定について | NEWS – 筑波大学
千葉大学
2024年に行われた学長選考において、得票数1位が山田賢(534票)、2位が横手幸太郎(446票)、3位が松原久裕(350票)と公表されたものの、2位の横手氏が次期学長として選ばれた。
千葉大学は「候補者自身の大学に対する考えや将来ビジョン等の内容を確認し、これらを総合的に評価した。」と発表。
東京大学
2026年4月7日に選考開始、7月1日に第1次総長候補者決定。
7月10日、東大の関連法人である一般財団法人「総合研究奨励会」の元事務局長が事業費用約9000万円を私的に流用していたことが判明、東大も公表した。染谷候補が代表理事をしていた時期と不正流用があった時期が重なっていた。
9月28日、票数と次期総長が発表される。意向投票は染谷隆夫1107票、藤垣裕子553票、山本隆司451票だったが、2位の藤垣裕子が選出された。
東京大学は選考理由として「ガバナンス体制の強化」や「東京大学の社会的信頼の回復」などをあげた。
東京大学の関連法人、元事務局長が9000万円を不正流用 – 日本経済新聞
東大関連法人の元役職員、9000万円不正取得 実態ない業務再委託費を個人会社に送金 | 日刊工業新聞 電子版
東大総長選・意向投票で1位候補の落選は関連法人疑惑が影響か~選考会議・国谷氏は説明せず #エキスパートトピ(石渡嶺司) – エキスパート – Yahoo!ニュース
東京大学 次期総長予定者 選考結果、選考理由及び選考過程
新潟大学
第11回学長選考において、意向投票は鈴木佳秀22票、長谷川彰360票、山本正治443票だったが、長谷川彰が次期学長として選ばれた。
その後、2025年に行われた学長選考でも小野寺理が882票、染矢俊幸が420票、川端和重が197票だったが、染矢俊幸が次期学長として選ばれた。
新潟大学学長選挙資料
投票で「大差の2位」の人が学長に選出…またも繰り返された学内軽視 大学自治が揺らぐ原因をたどった先には:東京新聞デジタル
信州大学
2021年に行われた学長選考において、意向聴取は1位本田孝行319票、2位齋藤直人228票、3位中村宗一郎226票だったが、中村宗一郎を次期学長候補者として決定した。
信州大学は選考理由としてリーダシップをあげた。
富山大学
第5回学長選考において、意向投票の得票率は平井美朗が58%でトップ、続いて倉知正佳が21.5%で2位、西頭德三が20.5%で3位となったが、西頭德三が次期学長として選ばれた。
JSA学術情報ニュース No.85
日本科学者会議第44期第5回常任幹事会
滋賀大学
2015年12月に行われた学長選考において、学内の専任講師以上の教員や係長級以上の職員計256人を対象として意向投票が実施された。184人が投票し、結果は、杉江氏83票、北村氏65票、位田氏35票、無効1票だったが、3位の位田隆一氏が次期学長として選ばれた。
滋賀大 | 学長選 最下位得票者が学長に 教職員組合、選考会議の公表要求 /滋賀 – 毎日新聞
滋賀医科大学
第5代または第6代学長を決める学長選考において意向投票では吉川隆一が131票、野田洋一が188票だったが、学長である吉川隆一を次期学長として再任することに決定した。
国立大学法人化が教育研究活動、産学連携活動及び大学運営に与えた影響に関する研究
京都大学
2026年の第28代総長選考において意向調査の得票は、1位が椹木哲夫で478票、2位が田尾龍太郎で301票、3位が立川康人で299票、4位が浅野耕太で213票、5位が波多野悦朗で97票、6位が江上雅彦で48票だったが、3位の立川康人が総長に選ばれた。
選考理由として「京都大学が掲げる国際卓越研究大学構想の達成のための実行力を有し、世界をリードする大学としての地位を確立するトップリーダーにふさわしいと判断した。」などがあげられている。
大阪大学
2021年5月15日の総長選考において、意向投票では澤芳樹346票、西尾章治郎263票、仲野徹98票、無効票1票だったが、西尾章治郎が総長として再任された。
選考理由として、「求められる総長像に掲げる 5 つの資質・能力を十分に備えている。」などがあげられた。
大阪教育大学
web上の大阪教育大学による公開資料は見つからないが、「日本科学者会議の資料」や「横浜国立大学の国立大学法人化の研究論文」にて、12代目学長を決める学長選考で意向投票2位が次期学長として選ばれたことが書かれている。
日本科学者会議第44期第5回常任幹事会
国立大学法人と「大学の自治」- 君塚正臣
岡山大学
第12代学長選考では、意向投票で赤木氏が379票、千葉氏が294票だったが、千葉喬三が次期学長として選ばれた。
また、その後2022年に行われた第15代学長選考では、意向投票で金澤右が341票、那須保友が272票、舟橋弘晃が148票だったが、那須保友が次期学長として選ばれた。
岡山大学は選考理由について、『那須保友氏の結果は2位であったけれども、同人は、大学経営において特に優れた実績を上げており、「誇りと希望の学都」を掲げ、岡山大学を取り巻く様々な課題に不易流行の経営改革に取り組んでいくことが大いに期待できると判断した。』としている。
大学の自治の再構築と学長選考制度― 岡山大学と新潟大学の事例検討を通して―
国立大学法人化が教育研究活動、産学連携活動及び大学運営に与えた影響に関する研究
岡山大学・2022年「学長適任者の選考結果」公式PDF
広島大学
2014年に意向投票の投票結果が非公表とされ、岡本哲治氏、越智光夫氏、坂越正樹氏、相田美砂子氏の4人の候補から越智氏が次期学長として選ばれた。
その後2018年には、越智学長について学長選考会議が業績評価を行い、本人への面接などを経て再任を認め、2019~2023年の次期学長候補者とした。候補者から選考する方式は採られなかった。
香川大学
第16回香川大学学長選考会議において、意向投票では1位が伊藤寛で244票、2位が一井眞比古で215票だったが、一井眞比古が次期学長として選ばれた。
第31回香川大学学長選考会議において、意向投票では1位が加野芳正で240票、2位が長尾省吾で181票だったが、長尾省吾が次期学長として選ばれた。
ともに、目標や計画・リーダーシップなどが評価された。
香川大学学長候補者の選考結果の公表について – 国立大学法人香川大学学長選考会議(第16回)
香川大学学長候補者の選考結果の公表について – 国立大学法人香川大学学長選考会議(第31回)
高知大学
2017年に行われた学長選考においても、櫻井克年が342票、執印太郎が381票だったが、櫻井克年が次期学長として選ばれた。
その後、2021年に行われた学長選考においても、意向投票では、櫻井克年が306票、菅沼成文が335票だったが、櫻井克年が次期学長として選ばれた。
公示 国立大学法人高知大学学長選考会議 2017年
公示 国立大学法人高知大学学長選考会議 2021年
九州大学
web上の九州大学による公開資料は見つからないが、当時の毎日新聞の記事を収録した熊本大学の新聞記事一覧には、有川氏の総長就任を扱った記事について、明記された見出し・摘要として「学内投票は2位」と残っている。また、日本科学者会議の資料にも九州大学で2位が就任したことが書かれている。
新聞記事一覧(2006年-現在) 熊本大学
日本科学者会議第44期第5回常任幹事会